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萩簡易裁判所 昭和35年(ろ)42号 判決 1960年7月14日

被告人 溝部一男

主文

被告人は無罪。

理由

本件公訴事実の要旨は、

被告人は、自動車運転者であるが、昭和三十五年三月十六日午後一時三十五分頃、萩市御許町日本生命萩支部前路上において、運転免許証を携帯しないで小型自動四輪車(山四す〇九九一号)を運転したものである。

と謂うにあるが、被告人の当公判廷における供述、証人秋吉貞利の当公判廷における供述及び溝部こと杉山二郎の検察事務官に対する供述調書抄本等を総合すると、昭和三十五年三月十六日午後一時三十五分頃萩市御許町日本生命萩支部前路上において運転免許証を携帯しないで小型自動四輪車を運転したのは被告人ではなく杉山二郎であつて、同人が被告人の氏名を詐称していたものであることが認められ、本件公訴事実は認めるに足りる証拠がない。結局本件公訴事実については犯罪の証明がないことに帰するから、刑事訴訟法第三三六条に則り無罪を言渡すことにする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 板倉勧二郎)

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